QCon Tokyo 2009に行ってきた

QCon Tokyo 2009

QCon Tokyoは2日間開催で、それぞれの日ごとに3つのトラック({1日目 => [Architecture, RIA, Ruby], 2日目 => [Cloud Computing/SOA, Agile, Case Study]})が設定されていて、トラックごとにセッションが4つ設定されている。また、各トラックに属する個別セッションとは別に、日ごとに2つのジェネラルセッションが設定されていて、大御所たちが話すことになっている。

QConでは、良いと思ったセッションに緑、普通と思ったセッションに黄、いまいちと思ったセッションに赤のカードを入れることになっているんだけど、これに習って自分が出席したセッションを評価すると、こんな感じになる。

[緑(よかった!)]
  • アーキテクトの審美眼 by 萩原正義
  • General Session 1 クラウドの技術的な特徴について by 丸山不二夫
  • クラウドのプログラミング − プラットフォームとしてのインターネット by Gregor Hohpe
  • 大規模ウェブサイトのベストプラクティス −eBayでの事例− by Randy Shoup
  • パネル・ディスカッション「エンタープライズ・ソフトウェア開発の動向」 by Floyd Marinescu
[黄色(ふつう)]
  • General Session 1 ドメイン固有言語 −その役割− by Martin Fowler
  • General Session 2 ビューティフルコード by まつもとゆきひろ
  • Open Webの進展とその今後 by Dylan Schiemann
  • 実世界のRuby −3年間の経験から− by Martin Fowler
  • QCon Tokyo Conference Party
  • General Session 2 Spring Today and Tomorrow by Rod Johnson
  • アジャイル開発を始めるために −実例で得られた知見から− by Henrik Kniberg
[赤(いまいち)]
  • Amazon Web Services in Action by Jeff Barr
もともとはRod JohnsonとMartin Fowler目当てで行ったようなものなんだけど、Rod Johnsonの話はちょっとマーケティング色が強すぎて微妙だったので黄色。Martin Fowlerのジェネラルセッションは、既存の資料(DSL WIPやThought Works Anthology)で知っていた話が多かった。Rubyのセッションは興味深くはあったものの、Martin Fowlerの話というより、Thought WorksでRubyに取り組んでいる人たちの話をまとめた内容になっていて、Fowler自身の言葉があまり聞けなかったのが残念。

上記のセッションを聞いてみて自分が持った感想は、「世の中や技術は複雑さを増し続けていて、単一の言語・製品・モデル・パラダイムだけでは(少なくとも効率的には)対応できない」ということ。Rod Johnsonは「JavaEEのようにすべてを包含しようとするのではなく、リーンな(特定の目的のために存在し、シンプルで無駄がない)仕様や製品を、適した場所に使っていくこと」を提唱していたし、Martin Fowlerは「特定のドメインに特化した言語を使い、それを場所に応じて使い分けることで、効率的にシステムを記述/開発できる」と考えているようだ。丸山先生やeBayのRandy Shoup、GoogleのGregor HorhpeはACIDとは異なる新たなトランザクションモデル(丸山先生はBASEモデルと呼んでいる)を提示して、ACIDトランザクション一色の既存のシステム開発の再考を促している。MSの萩原さんは、まんまマルチパラダイムへの流れを強調していたしな。
Rubyは、DSLを記述するための高い表現力を持つため、内部DSL向けのホスト言語として重要な位置を占めることになる。
# あれ…アジャイルは?^^;

個別セッションのまとめは、内容的に興味が持てたものでかつ、かけそうなものを選んでちょこちょこ書いていく予定。たぶんInfoQの方にビデオ出ると思うし。とりあえずは、パネルディスカッションあたりから起こしていく予定。

レポート:
追記:
発表資料公開されました。
http://qcontokyo.com/tokyo-2009/schedule.html

コメント