シリコンバレー精神

★★★★★

これまた 、図書館で借りてきた本。1994年から2000年くらいまで、「シリコンバレーからの手紙」という形でシリコンバレーの空気を伝えてくれている。
この本の冒頭に、「シリコンバレーが天気の良い田舎町である」と書いてある部分がある。この部分を読んでしばらくは、すさまじい勢いでイノベーションを生んでいるシリコンバレーという場所のイメージとのギャップがものすごかったけれども、梅田氏の一日の暮らしについて書かれた部分を読んだ時にすべて理解できた。天気の良い田舎町で、喧騒とは程遠いがゆえに、すばらしい集中力で何かを進行させている。静かに、一人で。シリコンバレーには、梅田氏と同様の集中力で粛々と仕事をすすめている膨大な人たちがいるのだ。彼らのその集中力が、異常な速度のイノベーションを生んでいる一つの大きな要因になっている、それを感じた。
職場に行っても、何をすべきかクリアにならず、大して必死にならなくてもそんなに大きな問題にもならず、仕事中にくだらない話をしても許されてしまうような今の状況とは大違いだ。本当の集中というのはすごい力を生むのだろう。集中することの威力、というのを思い知った。集中。

さらに、今までは「エンジェル」とか「VC」とか聞いてはいても、大学卒業と同時に起業、なんてのはどういう神経を持っていれば可能なのかまったく理解できなかったが、シリコンバレーの空気と、冒険(ベンチャー)の失敗が人生に影響を及ぼさないというルール、そのルールがあるがゆえの、VCへのプレゼンテーションの陽気さや無邪気さを知り、ようやく彼らの状況が理解できた。失敗して当たり前、うまくいけばすごい!「XXXコンテスト」のすごい賞金つきみたいな感じなのだ。楽しそうだ…。この労働環境…の違いはなんだろう?いや…これは労働環境ですらない。

とにかく、チャレンジに対して非常に前向きになれる本。

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